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猛威をふるう19人の小人たち

○風邪の流行る季節だからこそ

 新型コロナウィルスの第3波が到来しています。感染者数でいえば、8月が最多で665人、11月が625人、12月は昨日(13日)までの段階で596人となっており、今月で1,000人を越えるペースとなっています。とはいえ、ただでさえ風邪やインフルエンザが流行る季節ですので、今まで以上に細かいことに気を遣っていくことが大事だと思います。

 ハインリッヒの法則というのはご存知でしょうか?医療や福祉の世界では常識だとは思いますが、それ以外の分野で聞くことがあまりない法則だと思います。1つの重大な事故の背景には、29の軽微な事故があり、さらにその背景には300ものヒヤリ・ハット(異常)があるというものです。この、ヒヤリ・ハットの段階で手を打つことで、軽微な事故、さらには重大な事故を防ぐことができるというものです。

 そこで、風邪に感染するメカニズムを理解した上で、徹底してほしいことを挙げていきます。

 まず、風邪に感染する場合、第一に飛沫感染があり、そこから派生して空気感染・接触感染が挙げられます。飛沫感染とは、体内にある風邪のウィルスが咳やくしゃみ、発声などに伴い、唾や鼻水などとともに体外に排出され、その飛沫を他人の体内に入ることで発生します。他人の咳やくしゃみを直接、口や鼻から吸い込むことは嫌でしょうが、みんなで楽しく歓談しながら食事をしていると、その声とともに飛沫が料理に飛び散ってしまい、その場にいる人たちが知らないうちに感染してしまうことが多いようです。現在、家庭のあり方が多様化しているため、「伝統的な家庭」の一家団欒の食事があれば、家庭内感染は起きますし、飲み会はお酒が入ることで羽目が外れて話が弾むことでより感染が起きやすくなります。夜の街が悪者のように取沙汰されますが、感染の起きるメカニズムとしては、家庭でも居酒屋でもキャバクラ・ホストクラブでも一緒です。どこが悪いということはありません。政府や自治体が「夜の街」とお茶を濁した表現で悪者扱いしていますが、それでは感染拡大に歯止めが効かないことは明白です。飛沫感染において、忘れがちなのが排泄物です。口から入ってウィルスが存在している喉を通って出ていきますので、当然ながら排泄物からウィルスが検出されるということが報告されています。なので、トイレでの感染ということも想定できますし、公衆トイレやコンビニやスーパーなどのトイレが使用禁止になっているところがあるのもこのためです。

 次に空気感染は、咳やくしゃみ、発声などで飛び散った飛沫が空気中に浮遊している間に、知らず知らずのうちに、呼吸とともに吸い込んでしまうことで起きます。接触感染は、それらの飛沫が落下して何らかの物に付着し、その付着したウィルスを触り、さらにその手で顔(口や鼻)を触ってしまったり、飲食物を摂取することによって起きます。

 もう一つ、冬場に風邪が流行る理由について考えると、第一に空気が乾燥していること。ウィルスは乾燥した所を好むそうです。第二に窓を閉め切って換気をしないこと。飛沫が部屋の外に出ずに滞留してウィルスの濃度が上がり感染しやすくなります。第三に喉の乾燥です。冬場になると、水分補給をする機会がぐっと減りますが、ウィルスは乾燥した所を好むため、喉が乾燥しているウィルスが付着しやすくなるそうです。学校では授業中にお茶を飲むな、と言われてしまいますが、こまめな水分補給は重要だそうです。

 

 では、対策としてできることを挙げていきます。まずは、従前から言われていることですが、

①マスクの着用

第一に飛沫の拡散防止、第二に空気中のウィルス吸い込み防止・抑制。スパコン富士の趣味レーションではマスクを着けてもウィルスが漏れてしまっていまいますが、マスクなしに比べるとはるかに拡散しません。ネックウォーマーでマスクの代用はないよりましですが、マスクに比べると飛沫の拡散がとても多くなりますので、マスクを着けるようにしましょう。

②手洗い・消毒

石鹸による手洗い(6行程)やアルコール消毒により、手に付着しているウィルスを除去します。水洗いだけでもしないよりはいいということです。また手洗いの時は、1)手のひら、2)手の甲、3)指の間、4)親指、5)爪の間、6)手首をそれぞれ10秒ほどかけてしっかりともみ洗いをしましょう。

③部屋の換気

ウィルス交じりの空気を新鮮な空気と入れ換えます。冬場寒いですが、1時間1回は換気をするようにしましょう。30分に1回という話もありますが。

④人との距離をとる

最低でも1m、できれば2mの距離で、その理由は飛沫が届かない距離だそうです。今の状況を鑑みると2mはとらないといけないと思います。教室でも前後左右の人と2mの距離をとりましょう!といっても、そんな距離をとると廊下で授業を受ける人が出ますよね。教室では、マスクを着用し飛沫を飛ばさないことと換気を徹底することが現実的だと思います。

無理をしない。しんどい時は休む

体調が少しでもおかしいと思ったら、迷惑だとか出席日数だとか気にせずに休みましょう。休むことで迷惑がかかるとすれば、人は生きているだけで非常に迷惑な存在だということにつながると思います。怪我や病気で休むことが迷惑だとする社会であれば、誰しもが生きづらい、風通しの悪い社会だといえます。今の日本社会にも換気が必要ですね。

 これは従前より言ってきたことだと思います。さらにもう2点、気を付けてほしいこととして、

⑤部屋の加湿

西高東低の気圧配置と聞いてことがありますか?夏場と違って、大陸性の乾燥した高気圧が日本を覆うので、冬場は乾燥します。加湿器を置くというのも一つの手だと思います。そういえば、石油ストーブの上にヤカンや鍋に水を張って置いていたことを思い出します。

⑥こまめな水分補給

熱中症予防と同じです。喉が渇いたなと感じたら、感じている以上に喉が乾燥しているそうです。渇いたなと感じる前に水分補給をするようにしましょう。部屋の加湿が難しい時は、より気を付けて水分補給をするようにしましょう。

 

○政府分科会尾見会長記者会見(12/11)

 個人的な感想ですが、尾身会長の主張は以下の3点だと思います。

①政府は医療や介護にもっと金を出せ!

②国と地方、自治体間の縦割り110番!河野さん出番です。

③Go To キャンペーンの停止! 政府と分科会の縦割り110番!河野さん出番です。

 

 我々の生活に関する部分(前半)では、今が勝負の3週間で、来週以降に感染者が減ればいいが、高止まりか増加を続けるようであれば、最悪のシナリオになるということだったと思います。尾身会長からは「自助」ではなく、積極的な「公助」が必要だと発信されていたと思います。

○京都府知事発表(12/9)

京都府知事が用いた資料【PDF

 

 まずは「自助」、次に危機感をもって「自助」、最後に自覚をもって「自助」だそうです。

 大学でまともに講義を受けられない大学生を悪者扱いしていることには、大変遺憾であります。

 しかし、心に全く響かなかったため、記憶には残りませんでした。

○京都市長発表(12/9)

 一応視聴しましたが、こちらも心に響かなかったため、記憶に残りませんでした。解説できず申し訳なく思います。

○和歌山県知事の発信

 済生会有田病院でのクラスター対応から、一貫して知事がリーダーシップを発揮して感染症対策をとっている自治体の一つです。大阪の新型コロナ専門病棟にも、最も早く看護師の派遣を決定なされました。仁坂知事の考えは、都道府県という行政の枠を外して、大阪と同じ経済圏(生活圏)にある和歌山だからこそ、大阪に協力するというものです。詳しくは和歌山県のウェブサイトでご覧ください。知事から非常に多くの発信がなされています。

 

和歌山県知事のメッセージ

 

 最新の発信「大阪が危ない。日本も危ない。」から、他府県と和歌山との違いを抜粋して紹介します。

1.陽性判明者の行動履歴を徹底的に調べているか。

2.そこから判明した濃厚接触者全員のPCR検査をしっかり実施しているか。

3.陽性判明者の入院、ホテル入所など十分な隔離の面倒をきちんと見ているか。

4.感染拡大に備えて、病院拡大、人員の手配、ホテルのリクルートなどを専門的見地から慎重かつ着実に進めているか。

5.陽性者と言えど、たいていの場合その行動範囲は、保健所の管轄を越えているから、別の保健所管内にいるこの人の濃厚接触者の検査を命令できる保健所の統合システムを持っているか。保健所がバラバラに動いていないか。

 

 和歌山で暮らしている訳ではないので、この5点が本当に実施しているかは確かめられていないですが、知事の危機感の強さがにじみ出ていると思います。

 

○最後に

 新型コロナウィルスCovid-19は、人類に何をもたらしたのでしょうか。混乱や不安や分断でしょうか。

 「ゆく川の水は絶えずして、しかも元の水にあらず」

 鴨長明の『方丈記』の有名な一説です。コロナウィルスも常に変化し続け、新型コロナはその変化したものの内、たまたま発見されただけに過ぎないのではないでしょうか。社会が大騒ぎしているのは身体機能が弱い人や、弱まっていく人が感染すると、悪化しやすく重症化・死亡に至る可能性が高いのは、旧型コロナでも一緒だと思います。Covid-19は地球が人類に向けて発信された何らかの警告ではないでしょうか。

 つまり、無理をしなくていいこということ、しんどい時は休めということ、自分のペースで人生を歩めということではないでしょうか。オンラインで何かをしろということではないと思います。まだコロナの混乱の中にありますが、一度社会全体として立ち止まって考えてみませんか?