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2020年を振り返って

○2020年は?

 今年も残す所、あと10日。今年一年を振り返ると、一言にコロナの年だったと思います。

 オリンピック、国体は延期、その他あらゆる種目のあらゆるカテゴリーの多くの大会が中止となったり、規模を縮小したりし、選手にとっては苦難の一年だったと思います。もののけ姫に出てくる「こだま」は、日本では古来より信仰されてきた精霊の一種だと思いますが、西洋科学からすると人類に仇なす細菌やウィルスになってしまうのかもしれません。

 with コロナといったり、コロナに打ち勝つといったり、社会の中ではコロナとの向き合い方が定まっていません。しかし、日本ではwith ウィルス・細菌の文化を連綿と紡いだきた歴史があります。神々として畏れ敬いながら、共に生きてきたのが日本人だと思います。自然災害が多い日本だからこそ生まれた文化・思想(信仰)ではないでしょうか。ウィルスに打ち勝った証としての五輪ではなく、ウィルスとともに行う五輪になる方が自然なような気がします。

 また、京都のバレー界にとって喜ばしい出来事もありました。昨年に引き続き、春高にて京都府代表が予選から失セット0の完全優勝を果たしました。昨年は洛南、今年は東山で2つの高校で成し遂げるという偉業です。11月の京都府決勝では、フルセットの末、東山が取りましたが、どちらが勝ってもおかしくない試合でした。セッター対決は洛南かな、でも総合的には東山だったのかなという試合でした。女子は、23年ぶり、ということは前回は佐野優子の時?以来、北嵯峨がフルセットの末、京都橘を下し、全国へと駒を進めました。監督大村加奈子の全国デビューです。年明けの春高が楽しみです。

 一番大きなことは、やはり、大塚達宣(洛南→早稲田)・高橋藍(蜂ヶ岡→東山→日体大)の全日本入りでしょう。来年五輪が開催されたとしたら、この2人の活躍に期待してしまいます。その前哨戦ではないですが、12月の全日本インカレ決勝では、大塚vs高橋の対決が実現、勝負は選手層の厚い早稲田に軍配が上がりましたが、日体大の健闘も賞賛に値するものでしょう。また高橋藍(弟)vs塁(兄)の兄弟対決も実現しており、話題に堪えないインカレだったと思います。

○2020年の始まり~緊急事態宣言発令

 教室活動は、新年から前途多難なスタートとなりました。年明けの初練習では40名近くの生徒が参加してくれましたが、指導者は蓋を開ければ大人1人だけ。高校生1人の助力を得て、男女の練習を何とか回すだけのスタートでした。以後、指導者不足が解決できない大きな課題として、教室運営の枷となっています。そして話題の2月。新年度に向けて、体験で来てくれる小学生が増えてきて、教室としてはいい流れができはじめていました。しかし、世の中でちらほらとコロナが話題になり始めており、教室でも新型とはいえコロナはコロナではないのか、との観点から風邪予防のため、手洗いやうがい、日頃からの体温測定などの啓発にも徐々に取り組み始めました。と思っていたら、2月27日(木)練習前に安倍前首相が突然全国一斉休校を宣言し、29日(土)の練習を最後に、3月の練習は全て中止にせざるを得ませんでした。

 2月の明るい話題としては、教室の中から、京都学園へ進学を決めた生徒が数名います。月に1回ほど合同練習をさせて頂き、目をかけてもらった生徒が京都学園に進むことになりました。中には、中学校にバレー部がなく、試合の成績もないけれども、合同練習をきっかけに声をかけて下さったことが、教室を続けていく励みともなります。

 4月に入り、春休みが終わるとともに学校も再開するかと思い、教室再開の準備も進めていました。ただし、光華学園からはコロナの関係で外部への施設貸し出しを中止する旨の連絡を受け、公共施設を利用する運びとなりました。施設の方からは、コロナ大丈夫か、持ってこないかなどと怪訝な目で見られることもありました。そんな中、4月2日(木)には島津アリーナでの練習にこぎ着けることができましたが、その後、状況は悪化の一途をたどり、遂には全国一斉の緊急事態宣言が安倍前首相より発せられ、練習はその1回切りとなってしまいました。

○緊急事態宣言解除後

 5月の練習までと思っていた緊急事態宣言も、5月末まで延長となり、大変苦しい2ヶ月間を過ごすことを余儀なくされました。宣言解除後の教室再開に向けて、光華の使用許可が下りないという前提で進めることにしました。

 教室再開に向けて、物資の準備、会場の準備、感染症対策の準備と、これまで必要なかった準備を進めてまいりました。まず物資については、非接触型体温計と消毒液の購入。いずれも値段が高騰している中で、必要最低限は準備することができました。会場に関しては、山城高校・京都学園高校のご協力を得て、木曜日の練習会場は何とかなり、残る土曜日の会場を公共施設を借りる算段をつけて、週2回の練習機会を確保できるようにしました。そして、感染症対策として、体調が少しでも悪ければ休むことや家庭や学校で感染者が出た場合も休むことなど、多くの学校から集まっているこの教室でウィルスを拡散させないように方針を立てました。

 できうる準備をした上で、6月20日(土)、京都市武道センターで活動を再開させました。その後は順調という訳でないですし、コロナ関係でお休みしてもらうことも日に日に増えていき、練習に生徒も指導者も揃うことが難しかった半面、今日まで教室でのウィルス拡散を防げたという点は評価できるのかなと思います。ですが、同じクラスの生徒の陽性が判明したのに、クラスメイトは濃厚接触者ではないと判断され、学校も普通に再開されると、感染している可能性がある人が学校に通うし、クラブ活動にも参加すれば、当然ながら感染経路不明の感染者が出てきます。教室では、同じクラスで感染者がでれば、最低でも学級閉鎖か学年閉鎖にはなるだろうと想定していたため(そのために学校ではオンライン授業ができるようにしたのでは?)、想定外を行政側によって作られる事態に少し慌てました。しかし、当初の対策通りにこちらでは濃厚接触者に準じるとみてお休みしてもらうことになっています。京都府・市の濃厚接触者の基準が甘く、また行政の危機意識が低いのか、保健所の職員数が圧倒的に不足しているのかは分かりませんが、京都独自基準よりも全国統一基準、もっといえば、世界統一基準でウィルス対策は考えるべきだと思います。京都のウィルスは京都弁をしゃべり、イギリスのウィルスは英語をしゃべるのであれば、国や地域に応じた対策は必要でしょうが・・・。

 勿論、生徒だけでなく、指導者にも職場や家庭で同様の事態があれば、必ず休むようにお願いしました。その際に、指導者がいなくなる可能性もあり、急遽練習を中止する事態も想定しています。実際に、11月には濃厚接触者の濃厚接触者という関係で指導者不足となり、練習を中止すべきか判断をせざるを得ない事態が発生しました。幸い濃厚接触者が検査の結果陰性だったため、濃厚接触者の濃厚接触者への感染拡大の可能性は、その時点では極めて低いものと考えられるため、練習を中止せずに済みました。今後もあり得る事態ですし、実際に指導者が感染した場合は、練習を中止することになります。

 さて、6月以降に、多くの新入部員を迎えることができました。その中で、今年最も多かったのが、学校にクラブがなく、かつ初心者の生徒が複数名、教室の門を叩いてくれました。中には、ジャンプの漫画「ハイキュー!!」を見て、バレーをしたいと入部してくれた生徒もいます。練習会場・練習日とも十分とは言えない環境で、中々成長に繋げにくい部分はありますが、少しずつですが、確実に上達はしてきています。 

○2021年に向けて

 2020年の課題としては大きく2点。その2点を大きく左右する課題がもう1点。その3点を解決することが喫緊の課題となっています。

 1点目は指導者不足。京都府バレーボール協会主催なのに指導者がいないのとよく言われますが、いないものはいないのです。現状で、成人の指導者が5人しかおらず、その5人ともが専属ではありません。それぞれの仕事と掛け持ちで指導に当たっています。教室の指導が本業に支障をきたさない範囲で指導をお願いしているのが現状です。

 2点目は会場の問題。現在、公共施設は個人名義で、かつ1人で予約しています。1人が抽選・予約できる上限があるので、施設が空いていても、上限を越えるため予約できないということが多々あります。人気の施設の抽選は50倍にも達することもあり、利便性がよく安い体育館ほどおさえることが困難です。地域体育館の大半はある程度利便性がよくて、料金も安いため人気です。ハンナリーズアリーナや島津アリーナの場合、今年は様々な大会が中止となった関係で空いていることが多かったのですが、来年度はどうなるか分かりません。10月にBリーグが開幕するとハンナリーズアリーナでは、毎週のように京都ハンナリーズのホームゲームが開催されます。今年中止となった府の大会や近畿大会、全国大会も来年度は実施されるかもしれません。教室のホームとなる施設を確保することは喫緊の課題です。

 3点目は費用の問題。上記2点を解決するために必要なものが資金です。今年のプライマリーバランスは大赤です。資本主義の世の中で、無償で何かをするということは基本的にはあり得ないと思います。災害援助や生活に難を抱える人の生活支援などのボランティアと、大学生をボランティアで使うということは本質的に異なるものだと思います。ただ子どものためにボランティアでというのは主催者側の都合のいい言い訳に過ぎないと思います。指導者にはそれだけの身分保障をしてこそ、いい指導ができると考えています。次に会場費は、地域体育館を2面2時間で2,000円弱+備品代がかかります。これはあくまでも子ども減額した金額です。ハンナリーズアリーナや島津アリーナでも減額適用で半額で利用できます。しかし、全ての施設が減額対象となるかといえばそうではないですし、冷暖房代は施設の賃借料よりも高くつきます。昨年度までの想定で料金を設定しているため、今年の純粋な収支はマイナスとなります。来年度、同様の運営となるのであれば、人件費と施設費を賄うために会費を上げるか、寄付を募るか、はたまたクラウドファンディングでお金を集めるかとなってきます。

 バレーをはじめたい・挑戦したい子どもたち、部員数が多くて中々練習の機会がない子どもたち、他の学校の生徒から刺激を受けたい子どもたち、様々な思いを持ってこの教室に子どもたちがやってきています。結果だけを追い求めるのではなく、バレーをしたい子どもたちに最低限の機会を保障する教室であるために、お金が必要です。